話しかけたくなる田舎道の郵便ポスト

優しい起伏が続く丘を上り、下り、目的地の宿をさがしていると、小さな四つ辻でポツンと頑張る郵便ポストに出合いました。この地方の民家と同じように石を積み上げ、アルドワーズ (粘板岩) のかわいい屋根つき。周りには人の手で植えられた花が咲き、まるで童話の世界の小人の家のようです。見渡したところ、目に入る人家ははるか彼方。メールでたいていのことは用が足りる時代、このポストを利用する人って、いったいどのくらいいるのでしょう。誰かが手紙を入れにくるのを、ただただずっと待ち続けているようで、なんだかいじらしく、思わず車を停めて話しかけたくなったのでした。「いよいよ暑くなってきましたね〜〜〜、ご苦労さん。郵便屋さんはちゃんと日に一度は来るんすか?」。あのポストから自分宛に葉書を出せばよかった、と気付いたのはパリに戻ってから。そうそう、東京の実家にも一通。そうすればあのポストにひと仕事してもらえたのにと、残念でなりません。

 

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