19世紀 英国ブーム名残りの Pot de crème

ブルゴーニュの北の端、Alliant sur Tholon (アリヤン・シュル・トロン)は大規模な蚤の市で知られる街です。写真はそこで見かけた1900年頃の Pot de crème セット。受け皿のフォルムが素敵です。フレンチ・アンティーク研究家の石澤季里さんに写真を見ていただいたところ「実際に触ってみないとわからないけれど、南仏ムスチエ窯のように見えますね」。これはその当時流行していた Crème anglaise (英国風クレーム=カスタードソース) を使ったデザートのための器です。1851年、ロンドンのハイドパークで開催された世界初の万国博覧会を視察したナポレオン三世はおおいに刺激を受け、また同時に先を超されたことをおそらく悔しがり、オスマンによるパリ大改造の最中だったにもかかわらず1855年、イギリスをお手本にパリ万博を決行します。それからしばらくの間フランスは空前の英国ブームに。宮廷の食卓に上るような手のこんだアントルメと違って、クレーム・アングレーズはブルジョアの家庭でも作れるデザート。当時の婦人達のときめきが伝わってくるような愛らしい形の器ですね。

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